1980年代に細々と発売されたVictoryシリーズ。
昨今の中古市場の高騰の煽りを受け、10年ほど前は10万をちょっと超えるくらいの価格がReverbではありますが40万前後で取引されるまでになりました。
販売当初は不人気モデルだった為か製造されてた本数は少なくMVXで約1800本、MVⅡで約200本と言われています。
そんなマニアックなモデルですが、ずっと語り継がれている謎があります。
このヘッドストックにある『Gibson』というメーカー名、『Victory』というモデル名の他に『CM』という謎の文字。
これは下記の動画でも語られている通り、本国でも長年謎とされてきてます。
小生も入手当初からカラマズー(工場)の略かなとも思ったんですが、綴りが『Kalamazoo』で【K】から始まるためボツ。
カントリーミュージックだとか、搭載されているピックアップにアルニコではなくセラミックマグネットが使用されているからだとか、カーリーメイプル(Curly Maple)が使用されているからだとか、ローマ数字でCMは【900】を意味するとか情報が錯綜してます。
しかもVictoryモデル全てに入っている訳ではなく、描かれていない個体もあるそうです。
因みに以前紹介したVictoryのPOPにあるギターには『CM』は描かれてません。
小生が所有している1981年製は『CM』付きです。
他にも年代が違いますがLes Paulなどにも記載されいたりするそうなので、ホントどういう意味なんでしょうね。
入手した当初からちょっとトルクが軽く、少なくとも演奏に影響の出ていたVictoryのポット。
トーンの方はレバースイッチ切替時に触れやすく回りやすいので、試行錯誤の結果、手持ちのストラップブロックを2枚挟む事で無理やり解決させてました。
ただボリュームにも同様の処置をしてしまうと逆に固くなりすぎて音を消したいときにスッと落とせないこもあり、結局は演奏中にその都度ボリュームを確認しながら弾くという選択肢をとっておりました。
ただ6月に行ったライブで久しぶりに使おうとスタジオで練習してたとき、セットリストがストロークが多くボリュームにいつも以上に神経をすり減らす結果となってしまい、結局8年ぶりにオリジナルギターにメインを譲りました。
入手当初は81年製ということあり、あまりパーツを弄りたくないという思いがあったので交換という発想を捨てていたんですが、ハウリング問題やP-90に換装する際にボディーを削ったりしたのもあり、今回ようやくボリュームポットを交換する手はずとなりました。
今回購入したポットはこちら。適度なトルクにチューンナップされたカスタムCTSです。
久しぶりの作業なので画像を取るの忘れて既にポットにヤスリで傷をつけてます。
ちょっとわかり辛くなってしまいましたが、2枚目が作業後です。
工房に以前作業をお願いしたときに内部ワイヤーが最短で付けられてたこともあり、取り外しなど少し難儀させられましたが、なんとかはんだ付けし通電を確認。
表面に戻すとピカピカのシャフトがこんにちは。
上のトーンポットは前出したとおりストラップブロックが2枚重ねで取り付けてます。
この後ノブを取り付けトルクを確認しましたが、程よい重さで乱雑に触れても回らないし本当に丁度良いトルクでした。
最後に弦を張り直し音を確認。
特にわかりやすかったのはフロントにした時ですが、交換前と比べ中低音の張り出しが以前よりも良くなりました。
どちらかというとオールメイプルでテレキャスターに対抗して出来たギターなので高音の張り出しが強かったですが、今回の交換でいい感じに中低音が持ち上がり以前よりも扱いやすい印象になりました。
こうやって交換してしまうとなんでもっと早く交換しなかったんだろうって思ってしまいますよね。
まあ色々試行錯誤してく過程も楽しいんだけど。
バンドのボーカルHから先日預かったYAMAHA MG-M2。
これはHが十数年前に某中古ショップにて2000円で購入したもの!
まあ格安には理由があり、欠品としてアームバー、ロックナットのキャップ、ネジがあり、またブリッジが通常よりも高く上がりすぎており、1弦側はレンチでも調整不可能というものでした。
にしても昨今の中古価格に比べればかなりのお買い得品ですよね!
ちょっと時間が空いたこともあり、預かって修理してみることにしました。
まず詳しい状態確認から。
ネックはわずかに順反り状態でロッドは左右ともども余裕あり。ピックアップも3つとも断線、ノイズもなく良い状態を保ってました。ただボリュームポットが固くかなり力を入れないと回らないんでここは最後に調整をすることに。
それでは最初に一番大変そうなブリッジから。
現状弦高は12fで3mmとほとんど弾けたもんではありません。一応6弦側は六角レンチが聞いてくれるのでデフォに近いところまで下げてみました。
残るは全くレンチが回らない1弦側。最初はサビから回らないのかと思いいろいろ試してみました、どれも鳴かず飛ばず。もしかしたらアンカーが抜けてきているだけかもと思いつき、仕事場にある木材とゴムハンマーで叩いてみると、見事に的中!
理由がわかってしまうとなんてことないですが、閃かなかったら諦めてたかも・・・ね。
ブリッジの浮きも調整でき、なんとか6弦側で12f1.8mmまで落とし込むことが出来ました。
ここまでは順調だったですが、思いの外苦労したのがロックナット部分。
これがYAMAHAがこの当時独自の規格で部品を生産していた為、通常ネジのパイが4mm程度なんですが、MG-Mはなんと5mm!しかも検索しているときに間違った情報を載せいているサイトのせいで無駄にネジやキャップを購入する羽目になってしまい、作業が大幅に遅れてしまいした。
結局新品では規格が違いすぎて見つけ出すことが出来ず、オークションを利用し無事入手することが出来ました。
なんとか弾ける状態まで持ってこれたので記念撮影をば。
結局Hが購入した金額の2倍ほど材料費で飛んでしまいました。
裏面のシールが気になりますが、それ以外は本当に良い状態を保ててます。
あと、どうやらセンターのシングルの側面が赤くなっており、もしかしたら前オーナーが意図的に交換したのかも知れませんが、今回の修理ではそこまで手を付けておりません。
さっそく軽く弾いてたのがこちら。
拙い演奏で申し訳ないんですが、以前紹介したSpark GoとMoisesの組み合わせで一発撮りしてみました。
最初に聴いた感想として思った以上に所有していたMUSICMAN AXIS-EXに似てて思わぬ収穫でした。
まずギター本体がメイプル指板メイプルネック・バスウッドボディとほぼ同じ構成。またトーンが無く音がダイレクトに出力されるという点も類似しており、発売はMG-Mが早かったことを鑑みると元々松本さんが出したい音の傾向がブレてないのかも知れません。
ちょっと長くなってしまいましたが、時代背景や90年初期の日本製、当時の売り出し価格など様々な要因で全く触れてこなかったギターですが、今回修理に携わらせて貰い自分の思い込みでこんな良いギターに触れてこなかったことに、勿体なさを感じてます。
もちろん自分が成熟してきてギターをキチンと鳴らせるようになったのも大きいのかも知れませんが、もっと偏見を持たず色んなタイプのギターに触れていきたい切っ掛けになりました。
ちょっとHの許しを得て、来年予定のライブに使用するのも有りだな。
25日にバンド形態としては数年ぶりのライブを敢行してきました!
持参した機材はオリジナルギターであるAutergoとサブボードです。
今回は八代(といっても詳しい場所は宇城でした)という初めての場所だったので、一抹の不安を感じていたんですが残念なことに見事に的中してしました。
まず会場の狭さ。今まで一番小さいハコでもせいぜい70人は入る所だったんですが、今回のハコは大きく見積もっても30人。しかも立ち見スタイルではなく着席しての観戦だったため実質15人程度とかなりの狭さ。だもんでステージはほどほど広いけれど返しが全く無く、外音もギターアンプからの音を直接出す方式でした。
しかも直前のリハは全く無くPAもいるんですがほぼ何もしてないに等しく、終了後に来ていただいた方からギターの音は良かったけど、ボーカルが遠くで聴こえてて残念だったとの意見が・・・
そうなんですよ。音の調整もステージ立った時点で自分たちでコントロールしないといけないので、ぶっちゃけどのくらいの音量・バランスで鳴っているか全く分からない状態で演奏だったんです。
おかげで事前にどこが聞こえやすいのか、はたまたどこがハウりやすいのかとかの確認も出来ず仕舞いで、ハウらせたい時にハウらない、またその逆もありちょっと不満の残るステージでした。
また演奏終了後に片付けして外で機材整理をしていると、次の演者が演奏開始後にPAさんがハコから出てきて10分程不在になる始末。一番居なきゃいけない人が演奏中に席を外れていくなんて前代未聞でした。
18年今のバンドをやってますが、普段どれだけ優秀なPAさんも元でやれてたのかと痛感させられましたよ。
まあそれでも楽しめて演奏出来たし、共演者で一人で語り弾きをした【桐原ちゃん】という女性シンガーの本当の意味での原石を見つけたので収穫も多かったです。
特に桐原ちゃんは天然なのか演奏中に素で『間違えた』とか『違う』とか言っちゃうんですが、自分の世界観を持っていて直ぐに客席を魅了し包んでいくのが感じられて、率直に素晴らしかったです。
新市街や下通りで夜に路上ライブをやっているそうなので、ぜひ見かけた際は聞き耳を立てて下さい。絶対に魅了されますよ♪
こういった人をB-9とか大きいハコに招待して沢山の人に聴いてもらいたいですね。
-閑話休題-
今回は急遽ブッキングしてもらったライブだったこともありベースも不在だったので、次回こそはベストな状態でライブを演りたいね。