バンドのボーカルHから先日預かったYAMAHA MG-M2。
これはHが十数年前に某中古ショップにて2000円で購入したもの!
まあ格安には理由があり、欠品としてアームバー、ロックナットのキャップ、ネジがあり、またブリッジが通常よりも高く上がりすぎており、1弦側はレンチでも調整不可能というものでした。
にしても昨今の中古価格に比べればかなりのお買い得品ですよね!
ちょっと時間が空いたこともあり、預かって修理してみることにしました。
まず詳しい状態確認から。
ネックはわずかに順反り状態でロッドは左右ともども余裕あり。ピックアップも3つとも断線、ノイズもなく良い状態を保ってました。ただボリュームポットが固くかなり力を入れないと回らないんでここは最後に調整をすることに。
それでは最初に一番大変そうなブリッジから。
現状弦高は12fで3mmとほとんど弾けたもんではありません。一応6弦側は六角レンチが聞いてくれるのでデフォに近いところまで下げてみました。
残るは全くレンチが回らない1弦側。最初はサビから回らないのかと思いいろいろ試してみました、どれも鳴かず飛ばず。もしかしたらアンカーが抜けてきているだけかもと思いつき、仕事場にある木材とゴムハンマーで叩いてみると、見事に的中!
理由がわかってしまうとなんてことないですが、閃かなかったら諦めてたかも・・・ね。
ブリッジの浮きも調整でき、なんとか6弦側で12f1.8mmまで落とし込むことが出来ました。
ここまでは順調だったですが、思いの外苦労したのがロックナット部分。
これがYAMAHAがこの当時独自の規格で部品を生産していた為、通常ネジのパイが4mm程度なんですが、MG-Mはなんと5mm!しかも検索しているときに間違った情報を載せいているサイトのせいで無駄にネジやキャップを購入する羽目になってしまい、作業が大幅に遅れてしまいした。
結局新品では規格が違いすぎて見つけ出すことが出来ず、オークションを利用し無事入手することが出来ました。
なんとか弾ける状態まで持ってこれたので記念撮影をば。
結局Hが購入した金額の2倍ほど材料費で飛んでしまいました。
裏面のシールが気になりますが、それ以外は本当に良い状態を保ててます。
あと、どうやらセンターのシングルの側面が赤くなっており、もしかしたら前オーナーが意図的に交換したのかも知れませんが、今回の修理ではそこまで手を付けておりません。
さっそく軽く弾いてたのがこちら。
拙い演奏で申し訳ないんですが、以前紹介したSpark GoとMoisesの組み合わせで一発撮りしてみました。
最初に聴いた感想として思った以上に所有していたMUSICMAN AXIS-EXに似てて思わぬ収穫でした。
まずギター本体がメイプル指板メイプルネック・バスウッドボディとほぼ同じ構成。またトーンが無く音がダイレクトに出力されるという点も類似しており、発売はMG-Mが早かったことを鑑みると元々松本さんが出したい音の傾向がブレてないのかも知れません。
ちょっと長くなってしまいましたが、時代背景や90年初期の日本製、当時の売り出し価格など様々な要因で全く触れてこなかったギターですが、今回修理に携わらせて貰い自分の思い込みでこんな良いギターに触れてこなかったことに、勿体なさを感じてます。
もちろん自分が成熟してきてギターをキチンと鳴らせるようになったのも大きいのかも知れませんが、もっと偏見を持たず色んなタイプのギターに触れていきたい切っ掛けになりました。
ちょっとHの許しを得て、来年予定のライブに使用するのも有りだな。